3年6ヶ月(2012年3月から)
ありません。バンプレスト様の原型は初めてとなります。
第一回から存じ上げており、毎回ワクワクしながら観覧および投票をしておりました。プライズでリリースされた際には夢中で取りにいき、手に入れた作品は今でも原型制作時の参考資料として拝見しております。できることならいつの日か参加してみたい、予選があればすぐにでも挑戦してみたいと思っていた大会だけに、この度参加できる事をとても光栄に思います。投票する立場から投票して頂く立場になった事に大変緊張しております。
ドラゴンボール直撃世代ですので、子供の頃は当たり前の様にコミックスとアニメに夢中になっていました。原型師という仕事があることを知ったのは、連載が最終回を迎えアニメも終盤近くになっていた頃だったと思います。その時はまさか十数年後に自分が原型師となって造らせて頂けるとは夢にも思っておりませんでしたので、とても感慨深いです。しかしながら、長きに渡り愛され続けるキャラクターを造るという事は大変なプレッシャーであり、ある意味では恐怖に近い緊張感に満たされているのも事実です。商業原型師としてのキャリアはまだ浅く、いまだ修行中の身ではございますが、これが「天下一武道会」である以上、全身全霊をこめて挑ませて頂きます。
素直にとても嬉しかったです。
優勝決定のご連絡を頂いたのは、公に発表される少し前でしたので、まずは大会参加の切っ掛けを下さったサイトウヒールさんと我が師OZにのみ結果をご報告し、あとはひたすら黙っておりました。
年末年始は数年ぶりに実家で過ごしたのですが、家族に心配されない程度に下手な芝居をしておりました(笑)
納品を終えた後、造形のことを一切考えずにあらためて原作を最初から読み返してみたのですが、やはり面白かったですね。じっくり読み返すとちょっとした1コマに色々なキャラクター(特に脇役)の個性が詰まっていたり、子供の時には気にも止めなかったキャラクターに共感したり同情したりと、作品が長く愛されている秘訣はそんな所にもあるのではないかなぁとあらためて思いました。
昨年夏、サイトウヒールさんから突然「造形天下一に出場してみないか?」と連絡を頂いたことが参加の切っ掛けとなります。同業の先輩として憧れつつも、それまで一切面識がなかったため、ご連絡を頂いた際は仰天しました。
その数日後、大会について説明を受けるためバンプレスト様に同行し、その道中に彼の造形に対する想いを伺いました。穏やかな語り口調でありながら造形に対する想いと徹底したこだわりは凄まじく、まるで「灼熱」のような意志を感じました。
お話を伺う中「気張らなければすぐにでも消炭にされそうだ」と怯えつつも、憧れがより具体的になって行くのを感じ、その熱い意志の一部でもお借りして闘ってみたいという想いが込み上げたため、「サイトウヒールからの刺客」という二つ名を名乗らせて頂きました。
筆舌に尽くし難い悔しさがありましたが、同時にそれまで抱え続けていた緊張とプレッシャーから解放されほっとしました。
もう一度チャンスを与えられたと思い、応援して下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいでした。 しかし、投票開始から結果が知らされるまでの間はとても辛かったですね。初戦の時、ネット投票では投票数が隠れる直前まで若干リードしていたものの、リアル投票の結果で逆転負けを喫したため、同じ結果になるのではと心配しておりました。
数多くの魅力的なキャラクターが登場するため、キャラクターを選択できたとしたら、選ぶのにそれなりの時間が必要だったと思います。その点で、制作するキャラクターが投票で決まっていたことで、その分の時間をポーズの考案や資料収集、制作時間に振り分けることができて良かったと思います。しかしながら、決勝となるとキャラ人気の優劣が勝敗に少なからず影響してくるので、あくまで造形の勝負をするのであれば、どのように公平を保つかが難しいところだと思いました。
原型師として、お仕事で造った作品が商品化されないというのはとても辛いことだと思います。しかしながら、大会自体に緊張感を持たせるという意味では少なからず効果はあると思いますし、造る側としても慢心をせずに制作に取り組む良い切っ掛けになると思いました。
ポーズをどうするかについてとても悩みました。今回選択したポーズの他に「過去に悟空がとったポーズをスーパーサイヤ人3で再現する」という案もあったのですが、そのポーズを選択した理由など造形以外で説明しなければいけない要素があり、それでは説得力に欠けると判断したため王道ではありますが、あえて今回のポーズを選択しました。
好みが別れるところなので迷ったのですが、モチーフにした原作の1コマにある「バチバチ」といった空気感や緊張感を演出するために服のダメージ表現や浮き出た血管等のアレンジを加えました。
マスキング箇所を極力減らして色ごとに塗装できるよう、また微調整や塗直しを容易に行える様にパーツ分割にこだわりました。
今回の造形王で最も気になった作品はTKさん制作のウルージですね。台座を台座として使用しない。怪力キャラクターの特性を一切損なうことなく、むしろ巧みに活かしつつ既成概念や固定概念を見事に打破した傑作だと思いました。
造ってみたいキャラクターはピッコロ大魔王(初代)です。原作中で最も好きなエピソードでしたので。あと、もし複数キャラが許可されるのであればピラフ一味ですね。また、今大会で制作した悟空はほぼ素立ちポーズでしたので、次回参加させて頂けるとすれば躍動感のあるポーズに挑戦してみたいです。
ワンピースに関しては造形物を拝見する機会は多いのですが、未だ原作を読んだことがないので、これを機に一度しっかり読んでみようと思います。私自身制作するキャラの背景やエピソードを知るか否かでモチベーションが大きく左右されるので。
今後もできる限りイベントに参加し積極的に作品を発表して行きたいと思っております。従いまして、そのための軍資金として今回頂いた賞金は蓄えておこうと思っております。
この度応援して下さった皆様には感謝してもしきれません。このご恩にどう報いればいいのかわかりませんので、せめてこれからより良いものを造り皆さんに喜んで頂くべく精進するのみと思っております。
色々あって人生の仕切り直しをしようと考えていた時に原型師OZに出会ったことがキッカケです。彼に師事し造形のことはもちろん、効果的な塗装の方法やイベントでの作品の見せ方などたくさんのことを学び、その結果多くのメーカーの方々、また第一線で御活躍中の先輩原型師の方々からお声をかけて頂くことができ、原型師として生きて行くことを決意しました。この度、サイトウヒール様からの御推薦を頂くことができたのも、我が師OZからの指導の賜物であると思い、心から感謝しております。
「威風堂々」の一言につきると思います。
いざ立体に起そうと資料を見れば見る程、難しく感じました。一見単純な線で描かれている様に見えても、それを立体にしようとした時にどのように解釈すべきなのか迷うことが多く、改めて鳥山明先生の描く絵の奥深さを痛感するとともに、その魅力を再発見できたと思います。
表情、特に目つきにこだわりました。鋭くありつつも怒りに満ちた険しさではなく、落着きのある感じを残すことで感情を超越した威厳を醸し出すことを目指しました。あとはスーパーサイヤ人3最大の特徴である髪の毛です。ダイナミックな感じが出せたのではないかと思っております。
製作中、組立ててはバラし、を何度も繰り返しながらバランスをチェックするので、それに耐えうる強度を保つための仕組みを考えることが大変でした。特に髪の毛はボリューム、重量共にかなりのものになるので、表に出ない内側の部分で工夫を凝らしています。
原作で悟空がスーパーサイヤ人3に初めて変化した際のページと、その次ページの顔のアップの1コマ。それに加え、原画集に掲載された同じ時期に描かれたイラストを参考にしました。
今大会にはサイトウヒール様からの御推薦で出場させて頂きました。彼の期待に応えるためにも、そして自分自身のためにも死力を尽くすのみです!!