「嬉しさ」よりも先に「驚き」が前面に来ました。原型師になる前から見ていた大会でしたし、まさか自分が出るとは思いもよらなかったからです。
一番最初のキッカケは、本屋で何げなく手に取ったフィギュア雑誌だったかと思います。
原型師という職業があると知ってから自分の中で何かワクワクする気持ちが生まれたのを覚えています。
元々、悪役キャラを作りたいという思いがありました。
荼毘のビジュアルに魅力を感じたのはもちろんですが、火傷痕やそれを繋ぐ縫い目、コスチュームの破れなど造形で表現してみたい箇所が多かったのも理由の一つです。
今回作らせていただいた荼毘は、目線やかざした手の先に警戒すべき何かがいる(ある)という構図にしています。
コートに風を吹かせることでその何かの存在感や圧、場の緊張感を上げつつ、それに対する荼毘の余裕のある対応や表情を見ていただきたいです。
製作過程で苦労したところはコートの造形です。
生地が4枚に分かれているので、風を受けた際にどう動くのが自然でカッコいい表現になるんだろうかと試行錯誤しています。
こだわりやルールとはニュアンスが少し異なってしまうかもしれませんが...。
新しい案件が入ると仕事を始める前に部屋を片付けたり、机の上を掃除します。開幕式みたいなものです。
1ヶ月半くらいです。
自分の中にある荼毘のイメージは具現化できたので満足しています。